卵巣予備能(AMH)が低値でも鍼灸で妊娠率がアップ
当院は不妊症専門の鍼灸院であるため、来院される方の多くが“卵巣予備能”について悩まれております。そもそも“卵巣予備能”とは具体的に一体何のことかご存知でしょうか?意外と知らない方が多いのでご説明します。
卵巣予備能とは正式な用語の定義はありませんが、一般的に卵巣に残っている原始卵胞数の目安として用いられます。(1)簡単にいうと卵巣にどれくらいの卵が残っているかといことになります。それを調べる検査として、以前よりFSH基礎値や胞状卵胞数(AFC:AntralFollicleCount)、年齢など様々な卵巣予備能マーカーが検討されてきましたが、不妊治療の方針決定においてはAMHが信頼できるマーカーの1つとなっています(1)
上記の検査等で卵巣予備能が低いと判明された場合は卵の残っている数が少ないということになるため、治療の方針を早めに決めて行動していく必要があります。
ただ、よく誤解される方が多いのですが卵巣予備能が低い=卵子の質が悪いというわけではありません。あくまでも卵の数が少ないというだけで卵子の質は別問題となります。卵の数が少なくても状況に応じた治療を行うことで妊娠することは可能ですので今後の方針を病院でしっかりと相談してください。
また、卵巣予備能が低い方には鍼灸治療がとても効果的です!
2016年に中国にて発表された文献(2)によると、卵巣機能が低下した患者さんを、鍼治療を受けるグループ(観察群)と鍼治療を受けないグループ(対照群)で比較したところ、観察群は鍼治療をする前よりも卵胞ホルモン(E2)や胞状卵胞数(AFC)、採卵数、高品質胚数、受精数が増加し(P<0.05)、対照群と比較してもE2レベルや採卵数、高品質胚数、受精数が全て増加しました(P<0.05)。さらに、着床率、臨床妊娠率も改善し(P<0.01)、周期キャンセル率は減少しました(P<0.01)。
以上のことより卵巣予備能が低いと診断された方は、鍼灸治療を妊活に取り入れることをお勧めいたします。そして鍼灸治療の効果を最大限に発揮するには日々の通院頻度が大切になってきます。当院でも通院頻度が高い人の方が妊娠率も高いです。先ほどの文献でも治療の頻度は週2回となっています。鍼灸は不妊症に対して有用であり、妊娠率を上昇させることにより治療期間を短縮してトータル的な費用を削減することが可能です。
お悩みの際は一度鍼灸治療を検討してみてはいかがでしょうか?
(1)公益社団法人 日本産婦人科学会,研修ノート,No112 基礎から学ぶ不妊治療
(2)Li Zhou,Youbing Xia,Xiang Ma,et al:
Effects of "menstrual cycle-based acupuncture therapy" on IVF-ET in patients with decline in ovarian reserve, Zhongguo zhen jiu= Chinese acupuncture & moxibustion, 2016, 36.1: 25-28.
SR鍼灸烏丸 辛島 充