不妊鍼灸で妊活のコスト削減!
昨今不妊治療を受けている人は増加しています。病院の通院はもちろんのこと病院以外の施術として、漢方や鍼灸を併用している方が非常に多いです。そこで実際に不妊治療に対して鍼灸は本当に効果があるのかお伝えしたいと思います。
そもそも鍼灸というものは約2000年以前に中国で誕生しました。6世紀半ばに日本に伝わり、そこから日本独自の進化を遂げて現在の鍼灸になりました(1)。WHOは鍼灸の適応疾患の中に「不妊症」を含んでおり、世界的に認められている状況です。
今回は不妊症に対する鍼灸の研究を1つご紹介します。
・2008年にアメリカで報告(2)された研究
体外受精を受けた女性が胚移植を行う際に鍼灸を受けた場合、妊娠率と出生率が改善するかどうかを評価するために、体外受精を受けた1,366人の女性を対象とした7つの試験の結果を統合し分析したものになります。評価方法は胚移植後1日以内に鍼治療を受けたグループ、偽(にせ)鍼治療を受けたグループまたは鍼治療を受けなかったグループを比較しました。
結果は胚移植時に鍼を併用したグループの臨床的妊娠は1.65倍、継続中の妊娠は1.87倍、生児出産率は1.91倍となり、臨床的妊娠の改善において鍼治療は関連していると結論づけられています。
また報告の中で、「体外受精はとても高価な治療であり、1周期あたり平均12,400ドルの費用がかかる。鍼治療により個々のサイクルが成功する可能性が高まった場合、その後のサイクルの必要性が減り、全体的なコストが削減されるでしょう。」と明記されています。
保険適応にはなりましたが体外受精や顕微授精は、アメリカだけではなく日本も非常にコストが掛かります。そこに鍼灸治療代も必要になってくると、出費としては多くなってしまいますが、先ほどの研究でも結果が出ている通り鍼灸は不妊症に対して有用であり、妊娠率を上昇させることでトータル的なコスト削減に繋がります。
現在、病院での不妊治療がうまくいかずお悩みの方は鍼灸治療を受けてみるのも一つの方法かなと思います。この他にも様々な研究がありますので、今後も少しずつ紹介していきます!
1) 形井秀一:日本鍼灸の歴史.全日本鍼灸学会雑誌,62:12-28,2012
2) Eric Manheimer, Grant Zhang, Laurence Udoff, et al:Effects of acupuncture on rates of pregnancy and live birth among women undergoing in vitro fertilisation: systematic review and meta-analysis.BMJ,336:545-549,2008
SR鍼灸烏丸 辛島 充