ご夫婦で取り組む妊活
不妊の現状
みなさんもご存知の通り、日本では晩婚化が進み不妊治療を受ける夫婦の数が増加傾向にあるといえます。現在では不妊治療の治療や検査を受けたことのある人や治療中の夫婦は4.4組に1組(国立社会保障・人口問題研究所「第16回出生動向基本調査(結婚と出産に関する全国調査」)と2015年における調査の5.5組に1組よりも増加しており、生殖補助医療による出生児数も14人に1人(生殖補助医療による出生児数:公益社団法人日本産科婦人科学会「ARTデータブック(2020年)」、全出生児数:厚生労働省「令和2年(2020)人口動態統計(確定数)」)とこちらも2015年における調査時の20人に1人よりも増加しています。
不妊症の定義とはWHOでは2009年より「1年以上避妊をせずに性交しても妊娠に至らない」とされており、日本産婦人科学会も2015年より同様の内容を掲げています。
不妊治療は女性だけの問題と捉えがちですが、2017年に実施されたWHOの調査により実は全体の約半数は男性にも問題があり、夫婦でしっかりと不妊症に向き合う必要があることがわかりました。
向き合うためには不妊症がどのようなものかを理解する必要性があります。そこで実際に不妊症の原因とはどのようなものがあるのかを説明していきます。
不妊の原因は?
女性の不妊症の原因としては複数あり、1.排卵因子2.卵管因子3.子宮因子4.頸管因子5.免疫因子6.原因不明不妊症です。特に排卵因子と卵管因子、男性因子は不妊症の3大原因と言われています。(日本生殖医学会抜粋)
一方で男性の不妊症の原因としては、1.造精機能障害2.性機能障害3.精路通過障害があります。(日本生殖医学会抜粋)男性不妊症の約80%は造精機能障害とされており、精子数の減少や精子の運動率の低下などで悩まれています。
不妊治療とは?
不妊治療の流れとして男女ともにまずは検査から開始します。検査の内容は、診察や血液検査、精液検査、画像検査などです。その結果から「男性不妊」なのか「女性不妊」あるいは「原因不明」なのかを大別し治療をしていきます。基本的には排卵時期を合わせて性交する「タイミング法」から開始し、タイミング法でも妊娠に至らない場合は状況に応じて直接子宮内に精子を注入する「人工授精」にステップアップします。5~6回人工授精を実施しても妊娠できない場合はさらにステップアップし、精子や卵子を取り出して体の外で受精させて卵を子宮内に戻す「体外受精」や「顕微授精」などの「生殖補助医療」を行います。以前は人工授精や生殖補助療法が自費治療でしたが、2022年4月より保険適応になったことで治療のハードルが下がりました。
しかしながら、不妊治療が保険適用されたといっても仕事と不妊治療を両立していくのは至難の技です。実際に両立している人は全体の53.2%と約半数で両立できない人が34.7%となっています。両立の難しい理由は様々ありますが一番は精神的な負担です。(平成29年度「不妊治療と仕事の両立に係る諸問題についての総合的調査」)
不妊治療とは色々とストレスが溜まりやすく精神も磨耗しやすい状況で頑張らなければいけないので精神面のケアもとても重要です。
不妊鍼灸の役割
鍼灸治療では病院と違い施術の時間が比較的長いです。鍼灸治療により患者さんの身体を妊娠しやすい状態になるようケアしながら、コミュニケーションをしっかりと取ることで今後の治療やご夫婦の悩みに細かく回答することができます。当院は不妊専門の鍼灸院であるため、病院での治療や転院など鍼灸以外のことも適切にアドバイスすることが可能です。また、鍼灸治療では髪の毛くらいの太さの鍼を用いて治療していきます。注射のような強い痛みは起きにくく、近年多くの方が受けられている脱毛より優しい刺激のためご安心ください。
病院は育ち上がった卵子や精子に治療介入しますが、鍼灸治療は身体の中での卵子や精子の成長をサポートすることで質にアプローチしていきます。鍼灸治療を行い卵子や精子の状態が良くなった状態で病院の治療を受けていただくと、治療成績が高まり妊娠率の向上が期待されます。体外受精や顕微授精を繰り返しても陽性反応が出なかった方が鍼灸治療を開始して自然妊娠する場合もあるため、ご興味がある方は是非一度お問い合わせください。
今後このブログでは「不妊治療の方法や最新の知見」、「不妊鍼灸の効果」といったテーマで更新していこうと思います!
SR鍼灸烏丸 辛島充